古畑名シーンAdvent Calendar2014、まだまだ先は長い4日目の私ですこんにちは。
今回も、大人になった今だからこそ深みが分かる1本を取り上げたいと思います。
1stシーズン、第5話『汚れた王将』です。
ゲストは坂東八十助(現・三津五郎)さん。崖っぷちのプロ棋士・米沢八段を独特の間と雰囲気で好演しました。
将棋の対局が日をまたぐ際に翌日の第1手目をあらかじめ紙に書いておく「封じ手」。
米沢八段はこれに細工をし、一晩じっくり考えた手で翌日の対局を有利に進めようとするも、立会人にバレてしまいます。
その夜、米沢八段は問い詰める立会人を殺害してしまいます。
封じ手のトリックは「カーボン紙」なんですが、普通に考えてカーボン紙の文字なんか一発で怪しいだろ!とか、そもそも封筒の外側に跡が残るだろ!とか、いろいろツッコミどころが多いんですが、大切なのはそこではありません。
米沢八段は、何よりも「合理性」を大事にする男として描かれています。
しかし皮肉なことに、作中の米沢八段の行動はまったく筋が通っていないのです。
連敗続きで崖っぷち。
若手マザコン棋士を相手に、どうしても勝負を落とす訳にはいかない
↓
不正を働く
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不正を見破られる
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殺人を犯す
↓
対局中、盤上に自らの殺人の証拠を見つけてしまう
↓
殺人の証拠を隠すために、対局に負ける
↓
古畑に見破られる(犯人でなければ隠す必要がない)
↓
自分の指し手について合理的な説明が出来ないくらいなら、自白したほうがマシだと言う
どうしても試合に勝つために殺人まで犯したのに、自ら勝負を下りる。
米沢八段が抱える自己矛盾に対し、合理的な説明なぞ決してできないこと。
それが、この作品の最大のみどころだと思います。
■まとめ
合理性は大切だが、それだけでは大物にはなれない。
もうひとつの教訓
2年前の私、こんなことを書いてます。
古畑任三郎第5話「汚れた王将」で、米沢八段が古畑に「将棋で一番強い陣形は一番初めの、駒を動かす前の状態。一手動かすごとにそこに隙が生まれる」だということを話すくだりがあります。ITとかWebとかも同じで、ひとつ便利にするごとに脆弱性は生まれるものなのだということを心得ましょうね。
— Kさん(のむらけい) (@mypacecreator) December 9, 2012
ほんとにそのとおりだと思います。2年前の私いいこと言うわw