ブラック会社、って言葉が嫌いでした(会社員時代の思い出話 2)

2010年11月24日

一応前回エントリーからの続きなつもり。
一言でブラック会社と言っても程度がありますので、あくまで私の思い出話ということでお願いします。

私は「ブラック会社」という言葉が嫌いでした。

私の前居た会社はもう無くなっているので書けるのですが、思えばいわゆるブラック会社でした。

でも、在籍している時はうちの会社はブラックだ!なんて人に言ったりはしませんでした。
(まぁ、どこの会社にいてもありがちな個人的な愚痴レベルなら言いましたけど)

一般にみてブラックなあの会社だって、中の社員は必死になって良いものを作ろうとがんばっていたんですよね。

お客さんでも、

「この会社ひどい!」
っていう人がいた反面で、

「あぁここの会社に頼んでよかったなぁ、よくやってくれてるなぁ」
って感じてくれてる人もいたんです。

それを、「この会社はブラックだから」っていう一言で片付けられるのは悔しくてたまんなかった、というのが当時の気持ちです。

上層部の責任は重いと思うけどさ、現場はすごく真面目なのよ

一般的な「ブラック会社」の特徴として、中の社員に対してのものとかお客さんに対するものとかいろいろありますが、私の前いた会社であてはまるのは、

  • 労働条件が悪い
  • 営業手法に問題がある
  • そもそもの契約ルールに問題がある
  • お金にルーズ
  • 既存顧客へのアフターがなってない(その暇があるなら新規回れ、という空気)

…などですかね。思いつくまま書きましたが。

これらは明らかに上層部に責任があります。
無茶な営業だって、その人個人はすごく真面目でいい奴だったりするんです。

だって、真面目な人ほど、上の人の言うことを信じてひた向きにやってしまうから。
そして真面目な人ほど、ブラック会社でも自分が抜けた後の事を心配してしまう

こうして、こんな真面目な人が、つぶしがきかない人材になって、「ブラック会社の中の人」になっちゃうんですよね。
怖いですね。

だから、上層部の責任ってホント大きい。

制作部門もしかり。

この業界では夜遅くなったり徹夜する人がいるのも決して驚くべきことではないのだとは思います。

しかし、同じ「仕事に追われてる」状況でも、ひとつの大きな仕事に追われているのと、仕事の件数が多すぎて回しきれないのとでは危険度がちがうと私は考えています。
もちろん後者の方が危険。クレームの連鎖が起こる可能性があるから。

私は一番忙しい時に、最大42件のお客さんのプランニングを同時に担当させられました。
素直にやったら、とてもこなせる数字ではありません。

  • 決まってない部分はなるべくお客さんの資料待ちにさせる
  • お客さんに「ここ決めといてください」と、難しい宿題を課す
  • デザイナーからあがってきた原稿はとりあえず印刷して郵送し、添え状に「確認したら連絡ください」って書いておく

などというような卑怯戦法で、できる限りこっちが何もしなくていい期間を多く作って時間稼ぎをするようにしていました。

褒められた行動ではありませんね( ;´Д`)

こんな手を使って、しかも毎日一人で日付が変わるまで会社にいて、朝は8時15分くらいには出社して…ってやっても、私にはこなせる仕事量ではありませんでした。
(まぁ、徹夜とか会社に泊まり込みとかは経験ないので、もっとキツイ経験をしている人もたくさんいるはず。)

それでもお客さんは温かかった。会社は冷たかった。

それでも、「仕事が遅い!」ってタイプのクレームは、不思議と(あまり)ありませんでした。

この一番苦しい時期を私が何とか乗り切ったのは、多少仕事が遅くても温かく待ってくれていたお客さんたちのおかげです。
ホントにお客さんはあったかかったです。

会社は助けてはくれませんでした。
いや、とても助けられる状況じゃなかったのはわかってましたが。

キツイなら辞めればいい、そう言われちゃえばそれまでなんですが。
私を繋ぎとめていたのは、お客さんのあったかさだったと思うのです。

そりゃ、会社に問題はあるけどさ

当時、自分で「ブラック」って言ってしまったら、これだけの自分の努力やお客さんの温かさを無駄にしてるような気がしてたのです。

確かに会社自体、上層部に問題はあるんですよ。
こんだけボロ雑巾のように働いても大した利益の無い事業戦略とか、最終的に社員に払うお金も、お客さんに返すはずのお金も出ないくらいの借金作ったんですから。

でも、会社愛はなくとも、仕事には誇りを持って働いていた4年間を、「あの会社はブラックだった」の一言で片付けるにはどうも乱暴な気がして…。

もうその会社を離れて、初めて会う人に自分の経歴を説明するときには便宜上「ブラック」って言葉を使うことはあります。
でも自己否定の言葉っぽくて、そんな言葉は使いたくなくて、もっと良い表現を模索中で、それでこの記事を書きました。

仕事がキツイ=「ブラック」ではない!

最後に。
外から見て「ブラック会社」なのかどうか、ってことよりも、自分に合った良い経営者と出会えるか、それの方が大事だなーと思うのです。

単に労働時間が長かったり、仕事内容がキツかったり、上司が(不条理でなく)厳しかったり…
それがイコール「ブラック会社」の条件ではないと思うのです。

厳しい環境でも、自分が成長できるかどうか。
成長させてくれる人間(同僚でも上司でもお客さんでもいい)に出会えるかどうか。

ブラックなのかどうかなんて、結局は主観でしかないのだと思います。

・・・だからね、自分の成長にも何にもならないなら、本当のブラックだから、早めに見切りをつけて次のステップへ進むべき。
誰の成長にもならない会社なら、淘汰されるべき。

この記事はブラック企業擁護の話ではないです。決して。