中小企業のDXに必要なのは何か? 〜 イベント参加振り返り「IT経営カンファレンス2023 中小企業のためのDXまつり」

中小企業のDXに必要なのは何か? 〜 イベント参加振り返り「IT経営カンファレンス2023 中小企業のためのDXまつり」

2023年3月16日

めちゃくちゃ久しぶりにイベント参加レポートです!
2023年3月15日に、名古屋のウインクあいちにて開催された「IT経営カンファレンス2023 中小企業のためのDXまつり」(主催:特定非営利活動法人ITC中部)に参加しました。

このイベントについて

2月に参加した中小企業診断士試験合格者対象の実務補習(※資格登録するために受けないといけない研修みたいなやつ)の時に担当してくださった指導員の先生が運営に携わっているというご縁で、このイベントを紹介いただきました。
こういったセミナーへの参加はものすごく久しぶり(前回はコロナ禍前…いや、妊娠前だろうから少なくとも4年以上はご無沙汰?)です。今回は「WebじゃないIT」ということで、普段の守備範囲と近いけど少し違うところの分野の話を聞いてきました。

講演内容については主催者発行のチラシをご覧ください。

今回は、

  • 企業のDXを支援する専門家(ITコーディネータ)
  • 実際にDXを進める企業(DX認定取得企業など)
  • DX政策を作っている官僚(経済産業省の政策担当官)

という、異なる3つの立場からの視点における「DX」についての話を聞きました。
特に、経済産業省で実際に政策を作る立場の人の生の話を聞けたことが私にとっては貴重でした。普段Web制作の仕事していて、政府サイドの方の話を聞くことなんてそうそうないですからね。

そもそもDXとは何か?

このブログを読んでくださるような層の方に、わざわざDXとはなんぞやということについてゼロから説明するのも野暮ではありますが、自分の頭の中の整理としてまとめておきます。

DXのDは「デジタル」、Xはトランスフォーメーション。変形とか変革という意味です。なぜ「T」じゃなくて「X」なのかというと、英語圏では”trans-”の接頭語を”X”という文字で略す慣習があり、諸説ありますが、trans- の持つ「交差する」という意味から、クロスの形をしたXの文字が使われているそうです。

経済産業省による定義としては、

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

経済産業省(2019年7月)「DX 推進指標とそのガイダンス」
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf

だそうです。この一文の中に、「変革」という言葉が2回も出てきていますね。つまり単にIT機器やソフトウェアを導入して効率化を図るだけでなく組織文化や風土を再構築すること、ビジネスの仕組みを根底から変えることを含めた概念です。

※今回、上記の「DX 推進指標とそのガイダンス」とか、「DXレポート」(中小企業診断士試験や、ITパスポートなどIPAの情報処理資格の勉強をしていた人なら一度は聞いたことがあるであろう、あれです)とかはこういう人(っていうか、この人)が書いてるのか、というのを知れて感慨深かったです…。やっぱめっちゃ優秀なんだな。あとさすが登壇慣れしてて話も上手い。

それぞれの登壇者の発表内容で共通していたこと…

それは「ビジョン」ありきということでした。

第1部では異なる立場の3名の方が、第2部では「中部IT経営力大賞」という賞の受賞企業4社の方が登壇をしました。(保育園のお迎え時間の関係で、残念ながら最後の1社の発表は聞けなかったのですが)

各登壇内容の中で共通しているなと感じたこと、それは

「まず自社のビジョン(あるべき姿)があって、それを実現するために取り組む」

ということでした。

印象的だったのは、経済産業省の和泉氏が登壇の最初におっしゃっていた「自社の既存製品・サービスをベースに考えるとたいてい間違える」という言葉です。
今あるプロセスをそのままの形で自動化したり効率化しようとして、なんだかうまくいかないな…というのは、普段中小企業の現場見てる人なら「あるある」な光景だと思います。

まずは自社の経営理念(想い)・経営ビジョン(理想像)・経営目標(目指す所)を再確認し、明確化することから始めるべき。目指すゴールがどこか分からないのに、どこに向かって走っていくのか?

というのが、すべての発表に共通するテーマだと私は受け止めました。
これはDXに限った話でもないんですが。DX=デジタル化ではなく、経営そのものを見つめ直す機会と考えられるかどうかですね。

あとはもう、経営者の覚悟

今回、発表された企業の事例を聞いていてもうひとつ強く感じたのは、

「こういうところに出てくるような実績作ってる会社は、経営者の覚悟がとにかくすごい」ということ。

ビジョンや目標を一緒に考えたり、具体的な戦略・戦術のアドバイスをしたりというのは、中小企業診断士だったりITコーディネータだったり、別に資格なんかなくてもいいけど私たち専門家がお手伝いできますが、でも

「やれ切れるかどうかって、それはもうトップの覚悟だよなぁ」

と、ものすごく感じたのでした。

もちろん、経営者さんをその気にさせて、腹をくくらせるところまで持っていければ一流のアドバイザーなのでしょうが。

日本の中小企業のDX推進のために必要なのは、できるだけ多くの経営が覚悟を持つ、ってことなんだろうなぁ、というのがこの会の一番の感想でした。
なんともポエムな締めくくりで恐縮ですが、WebやITにかかわる自分が中小企業診断士という資格をどう使っていくか?というビジョンを描くためのささやかなヒントが得られた気がします。

その他感想(おまけ)

岐阜県はやはりIT先進県

岐阜県がIT分野に強いのは前からなんとなく知ってましたが、今回「中部IT経営力大賞」受賞企業の6社のうち4社が岐阜県の企業だったので、「やっぱりそうだったんだ」と思わされたのでした。県独自の補助金とか、行政の支援体制が充実している、とかもあるのかもしれません。ここは岐阜県民の見解を求めたいところ。

ITコーディネータ資格取ろうかな

ITコーディネータ協会主催のイベントだったので、ITコーディネータっていう資格がどんなものかようやくわかりました。中小企業診断士でITコーディネータの資格も取っている人が多い、っていうのに納得。
指導員の先生にも薦めていただいたので、取得を前向きに考えようかなと思っています。ただ、まずは診断士登録の方を優先したいですが。
1年間ですっかり勉強癖がついたので、負担にならない程度でなにかの勉強は継続していこうと思っています。

以上、久々のイベント参加レポートでした。
子育てフリーランスにとっては、平日昼間の開催って参加しやすくてめちゃくちゃありがたかったです。
土日、結構忙しいので…。